火災保険にはほとんどの人が加入していると思いますが、使ったことがある人はかなり少ないのではないでしょうか。比較的使用頻度が高い身近な保険に自動車保険がありますが、自動車保険はちょっとした事故で使うとかえって保険料が高くなるため、火災保険にも同じようなイメージを抱いている人がいるかもしれません。
果たして、火災保険を使うデメリットはあるのでしょうか?よくある疑問とあわせて徹底解説します!
1. 火災保険を使うデメリットはある?ない?
火災保険を使うと、保険料が上がったり、しばらくは保険が使えなくなったり、なんらかのデメリットがあるのではないか…と心配しておられる方もいるでしょう。結論からいうと、『火災保険を使うことのデメリットはない』といえます。
自動車保険のように、保険料が上がることを心配している人が一番多いと思いますが、火災保険は何度使っても保険料が上がることはありません。
費用に関する不安を解消するという意味では、『保険金で必ずしも修理をする必要はない。』ということも知っておくと良いでしょう。保険金だけで修理費用を賄うことは難しいため、自分でも修理費用を確保する必要があります。保険金は必ず修理に使わなければならないと決まっていた場合、火災保険を請求することで修理費用と保険金の差額を準備しなければならなくなるという問題が生じますが、実際には保険金の使い道は自由ですのでデメリットにはなりません。
ただし、保険金を受け取って修理をしなかった場合、そのことが原因で新たな被害が引き起こされたり、同じ箇所に被害を受けたりすると、その修理については保険の補償適用外になるので注意しましょう。火災保険を申請して保険金を受け取ったら、そのお金を使って修理を行うのが基本です。
2. 火災保険を使うときに知っておきたい注意点とは?
デメリットとまではいきませんが、火災保険を使用するにあたり、知っておきたい注意点をまとめました。
①一回の保険金支払い金額によっては、契約が終了する場合がある
何度保険を申請しても保険料が上がらないとお伝えしましたが、一回の保険金支払い金額によっては、契約が終了する場合があります。契約が終了した場合は、改めて火災保険に加入しなければなりません。
契約が終了するのは、以下のようなケースです。
・修理、再建築、再取得のための金額が保険金額を超えた場合
・延床面積の80%以上が焼失または流失した場合
・損害額が保険金額の80%以上になった場合
よりわかりやすい例でいうと、火災によって家が全焼したような場合です。こうした場合は、家を建て替えて、新たに保険に入り直すことになります。
②3年という請求期限がある。
被害にあってから3年が経過すると申請ができなくなってしまいます。面倒だと思って先延ばしにしたことにより、保険金が受け取れなくなってしまうのはもったいないですよね。また、被害を受けてから時間が経過すればするほど、被害の原因の特定が難しくなります。自然災害が発生してすぐであれば、災害による被害と認められていたかもしれないのに、時間が経過したことによって経年劣化と判断され、保険金がおりないということも考えられます。被害を受けたら、できるだけ早く申請をした方が良いでしょう。
※対象の災害に対する特例措置などにより、3年以上前の損害についても補償が受けられる場合があります。
③申請から支払いまでに一定の時間がかかる
できるだけ早く修理をしたい、現金が必要だという人もいると思いますが、申請から支払いまでには一定の時間がかかることを知っておきましょう。1ヶ月程度が目安にはなりますが、大規模災害の時や、被害の状態によっては、もっと時間がかかることも考えられます。状況によっては、保険金が支払われる前に修理業者に費用を支払わなければならないことも考えられるので、一度は支払いにあてる現金を準備しておく必要があるかもしれません。
3. 火災保険が適用にならないのはどんなケース?
デメリットがないなら、どんどん火災保険を使いたい!と思うかもしれませんが、残念ながら適用にならないケースもあります。その主なケースについてご紹介します。
①経年劣化の場合
時間の経過とともに、自然に劣化したものについては、火災保険の補償適用外です。ただし、自分では経年劣化だと思っていても、実はなんらかの自然災害の被害を受けた結果だということも少なくありません。素人ではなかなか判断が難しいので、大きな災害があった場合には、一度保険申請のプロにチェックしてもらうと良いでしょう。
②人的被害の場合
工事の際に不備があったり、手抜き工事をされていたり、点検の際に業者が傷をつけてしまったり…こうした人的被害の場合は、火災保険の補償適用外です。
③故意に被害を引き起こした場合
当然のことながら、故意に引き起こされた被害には適用されません。
④修繕費用が規定の金額に満たない場合
火災保険には、損害額20万円以上の場合に保険金が支払われるという契約や、免責金額が設定されている契約があります。修繕費用が契約した金額に満たない場合には、火災保険は適用されません。
4. 火災保険の不正受給になるケースとは?
火災保険の保険金は、当然のことながら不正受給をしてはいけません。「これくらいみんなやっていますよ。」「ちょっとくらい大丈夫です。」と不正受給を勧めてくる業者もあるので、注意が必要です。
具体的に不正受給になるケースについてご紹介します。
①過失による被害を、自然災害の被害として申請する
②故意につけた傷を、自然災害の被害として申請する
③業者が故意に傷をつけたものを、自然災害の被害として申請する
悪徳業者が傷をつけたとしても、それをわかった上で申請するのはもちろんNG。
知らないうちに傷つけられていた場合であっても、不正申請になってしまうので、業者選びには十分注意しましょう。
こうした不正申請は詐欺罪にあたりますので絶対してはいけません。
少し考えればやってはいけないことだとわかるのですが、悪徳業者の口車に乗せられて、不正を犯してしまう人が少なからずいます。「みんなやっているならいいか。」などと考えてしまわないようにしてくださいね。
5. まとめ
火災保険の利用には、基本的にデメリットはありません。火災保険が適用される被害を受けた場合には、遠慮せずに申請をしましょう。
今回は、火災保険に関する知っておきたい注意点や、適用にならないケース、絶対にやってはいけないことなど、気になる疑問についてもご紹介してきました。一定の知識を持っていれば申請もしやすいですし、間違ったことをしてしまうリスクも軽減できます。
保険申請の際には、保険申請のプロの力を借りることで、自分では見つけられない被害を発見してもらうこともできます。保険申請を検討する際には、保険申請代行(サポート)の利用も、併せて検討してみてくださいね。