保険申請代行業界は詐欺扱いされることも多く、悪いイメージを持っている人もいると思います。
そこで、今回は弊社社長へのインタビューを断行し、なぜ詐欺といわれるのか?実際どんなトラブルがあるのか?
そもそも保険申請代行に業者を使うメリットってなんなの?
など、ちょっと聞きづらいことも含めて、気になることをガンガン質問しちゃいました!
Q.社長、簡単に自己紹介お願いします!
はい、宜しくお願いします。
前職は全く業界の違う半導体の会社にいて、5年ほど前にこの業界に入りました。今の会社を立ち上げてからは4年になります。
半導体と保険は全く関連がありませんが、実は新卒で入社したのが生命保険会社だったんですよ。
Q.アイフラップは何をしている会社なのか教えてください!
4年前から、関東、大阪、福岡を中心に、地震保険・火災保険の申請代行サービスを行なっています。営業拠点は東京と大阪にあり、北関東、福岡は代理店さんに担当して頂いています。もちろん、僕自身も定期的に大阪や福岡などへも出張しています。
もともとは管理会社などと組んでビルやマンションの保険の申請代行をしていたのですが、1年ほど前から戸建ての案件も手掛けています。今年に入って、大阪だけでも100件くらいの申請代行を行なっており、申請実績はすでに1500件を超えていると思います。
Q.どんなきっかけでこの業界に入ることになったんですか?
生命保険会社時代の部下が、会社を辞めて先にこの業界に入っていたんです。
僕が前職の半導体の会社で早期退職を検討していた時、その部下が声をかけてくれたことがきっかけでこの業界に飛び込むことになりました。
はじめは、何をやっているのかよく分からず、残りの人生を捧げて良い業界なのかどうか判断するために、元部下にいろいろ聞きました。
最終的には、火災保険は必ずといっていいほど多くの人が加入していて、その人たちに価値あるサービスを提供することでお金をもらう、それっておもしろいなと思って、そこで、後輩のいる会社に入社することを決めました。
当時は東日本大震災の影響が落ち着いてきた頃でしたが、保険申請が漏れていて困っているマンションオーナーさん、ビルオーナーさんがまだまだ多くおられる状況でした。初めはそんな方々の地震保険申請サポートをメインにやっていましたが、それも徐々に件数が減っていったため、火災保険の申請サポートを行うようになっていったという流れです。
Q.火災保険の申請代行って何でか詐欺のイメージが強いですよね。。。。
転職にあたり、抵抗はなかったんですか?
確かに、ダーティーなイメージはありますよね。工務店さんが火災保険の申請代行をやっているっていうのは知っていましたし、それがトラブルになることが多いというのも聞いていました。だから、そこに入り込んでいくことのハードルは少し高かったですね。迷うところは正直ありました。
Q.抵抗がある中で、独立を決めた理由って?
工務店さんは、訪問営業や電話営業で自分から新しいお客さんを取っていくことが多く、関係性が0のところからサービスを提供するところに難しさがあると思いました。
自分たちは、自分たちから営業をかけることはせず、基本的にお客様からの紹介だけでやっていましたので、その方法であればトラブルは発生しにくいのではないかと考えた結果、本格的な独立を決めるに至ったのです。
実際に紹介のお客様とのトラブルはほとんどありません。
Q.トラブルって実際ありますか?
独立してからずっと紹介のみでやっていましたが、1年ほど前からインターネットからの集客も始めました。間に紹介者がいるっていうのが当たり前だったので、やはり全く知らない新しいお客様にサービスを提供するのは難しいと感じています。しっかり説明しないとトラブルになる。いや、しっかり説明もして、契約書を交わしていてもトラブルになることがあるんだと学びました。今はなかなか大変なお仕事だと実感しています。
Q.どんなトラブルだったんですか?
ネットからお申し込み頂くお客様は、もちろんですが、事前にどんなお考えを持っている人かというのが全くわかりませんよね。
あるケースでは、しっかり事前にサービス内容や料金体系の説明をして、ご理解頂き、契約書にもサインをしてもらったお客様がいたのですが、
保険金を実際に手にしたとたんに、人が変わったように、
「なんで35%も払わないといけないんだ!」
「いくらか割引け!」
と、契約とは違う内容を吹っかけられることがありました。
他にも、保険金が下りなかったらクレームに繋がったりすることもあります。
Q.どういったところから紹介ってあるんですか?
個人のお客様からのご紹介というよりも、不動産関係の会社が多いですね。
管理会社さんからもご紹介いただいています。
Q.社長が聞いたことがある詐欺事例、教えてください!
ごく一部の工務店さんの中に、保険金を使う手口を利用して、悪徳な形で自分達の仕事につなげるビジネス手法ですね。
そのお客様を訪問営業や電話営業をして見つけてくるわけです。その時には
「火災保険でリフォームができますよ!ほとんど保険金で賄えますよ!」
と美味しい話をして興味をひきます。
それから150~200万円の見積もりを作って…保険も同じだけおりるといって話を進めて行きますが、実際はそれほどおりないということが多いんです。保険会社はそんなに甘くはありません。150~200万円の見積もりに対して、実際におりた保険金は30~40万円程度だったとなれば、お客様としては「話が違う!」となります。ここで話が終わればまだ良いのですが、思ったよりも保険金がおりないとわかったタイミングで修理を断ろうとしても、
「もう手配を進めてしまっている。」「残りは分割でも構わない。」
などといって強引に工事を進めてしまう例が多いんです。
こうなると、保険金で支払えるからと修理を頼んだお客様から「詐欺だ!」と思われても仕方ないですよね。
またターゲットしてお年寄りを選んでいる業者もいて、こうした業者は、特に詐欺だといわれていると思います。
対お客様ではないですが、悪徳な工務店は瓦を剥がして申請しているところもあると聞きます。これも詐欺といわれてしまう例ではないでしょうか。
Q.「0円で修理ができます!」という広告をたまに見かけますが、
この表現ってアウトなんですか?
アウトです。
100%保険金で賄えるかというと、賄えないことがほとんどです。
そこは絶対に、きちんと説明しないといけない部分だと思います。
Q.「保険金がおりても、修理をしなくて良いんです!」これもアウトですか?
最近、同業のインターネットサイトでの売り文句はこれが多いですね。
これは完全アウトとはいえませんが…危険だなとは思っています。
地震保険は見舞金なので、修繕費ではありません。
例えば地震による被害で、基礎に亀裂が入っていたら建て替えないとだめですが、それを修繕費としては支払えません。そのため地震保険は見舞金という形になっています。見舞金なので、それは何に使っても良いということになります。
でも、火災保険はあくまでも修繕費として支払われます。我々としては、火災保険でおりたお金は修繕費として使うことを前提としてもらいたいですね。
Q. 火災保険でおりた保険金でリフォームしないのってありですか?
これももちろんアウトですが、非常に横行されていると思います。
特に今は新型コロナの影響でお金が必要な方が多くなっているので、増えているのではないでしょうか。
最近では、このビジネスをよく知っているお客様も増えてきています。お客様の方が我々を使って、お金を捻出しているという面はあります。
新型コロナで大変な人もいるという状況だからこそ、業者の方も「保険金を使って、何かと足りないお金を賄いましょう!」という謳い文句でお客さんを呼んでいるんだと思います。
Q.実際に申請代行業者が摘発されたケースってあるんですか?
ありますし、近年増えていると思います。特に、インターネット広告に注意喚起が入っているケースが増えていると聞いています。
数社摘発されて、保険会社から表現などを変えて欲しいと注意喚起が入り、実際に表現を修正させられているようです。
この業界も淘汰されつつあるのかもしれません。
Q.行政によって注意喚起されているのですか?
どこから注意喚起を受けているのかは、僕も良くわかっていないんです。
でも、保険会社側が発端となっているのは確かだと思います。
Q. 業務停止命令を受けた企業はないのですか?
注意勧告受けても、業務停止命令まで受けたという話は聞かないですね。
ただ、保険会社にはブラックリストがあるのではないか、といわれています。
そこに載っている会社と絡んだ案件はダメっていう判断がされているのではないか、と考えている同業者は多いようです。
Q.その他に、業界の問題点はありますか?
火災保険会社の判定が、ずさんであること。これは今、本当に問題だと思っています。過去にも問題になったことはありますが、これまでにないくらいひどいと思います。まともに申請代行をやっているところからすると、本当に厳しい状況です。何より、我々のお客様が、保険の契約者の方が気の毒です。
自動車保険では、最近大手保険会社が支払うべき保険金を支払わなかったとして訴えられました。しかし、はっきりいって火災保険はもっとひどい状況です。支払われるべきだったのに支払われなかったケースが大量にあると思います。
特に関西はひどい状況です。昨年の夏ならおりていた保険金が、ほとんど同じような被害状況であってもおりなくなっています。
今関西で多いのは2018年9月の台風21号の被害による保険申請です。関空の橋にタンカーがぶつかった、あの台風ですね。この災害は、発生からもうすぐ3年になります。保険申請の時効は3年なので、まだ申請することは可能なんですが、そんな昔の台風の申請を今更出してくるなといわんばかりの対応が見受けられます。災害で被害を被っていて、加入している火災保険の保険金を目的にするのは当然の権利だというのに、おかしいですよね。
うちは関西だけでなく、関東や福岡の案件も携わっているからよくわかるのですが、同じような被害状況でも、明らかに関西だけ保険金がおりにくい状況になっています。詳しい事情は分からないのですが、、、
契約者は同じ保険金を支払っているのですから、これは改善されるべきだと思います。
Q.保険会社のずさんな対応が問題とのことでしたが、具体的にどのようなところからそう感じたのですか?
特に感じるのは、鑑定人の対応ですね。
鑑定人は、損害保険登録鑑定人のことで、保険会社から派遣されますが、中立的な立場で、損害状況から損害額を算定する立場の人のことです。
お客様の立場に立つと「なんでなの?」と思う判断があった場合は、われわれも依頼を受けている立場から、強気に物申すこともあります。
例えば、ある案件で、間違いなく台風の影響で屋根が浮いている被害で見積もりを出したのですが、台風ではなく熱膨張で反ったんじゃないか?といわれたんです。でもそれなら、片面だけではなく両面の屋根が反るはずなので、やはり風が吹いたことが原因で屋根が浮いたのではないかと訴えたところ、言葉に詰まってしまい、明確な返答が返ってこないんです。
ただ、彼らはそれでも絶対に認めません。
悔しいですが、こちらの主張に自信があっても絶対にそうだということを立証できるわけではないので、鑑定人がNOといえばNOになってしまうんです。
この例については、実は昨年の夏にお隣さんが同じような状況で保険を申請して、全額保険金が支払われてリフォームされていたんです。その話もしましたが、全く聞き入れてもらえませんでした。
保険会社から、認めるなと言うような圧力が掛かっているんだと私は思っています。
Q. 保険会社と鑑定人の関係はどうなっているんですか?
昔は対等の関係性でしたが、今は明らかに保険会社の方が強くなっていると思います。
地震は鑑定人がある程度強いのですが、火災保険はそうはいきません。鑑定人も保険会社から仕事をもらうので、弱い立場にありますね。
Q. 保険の代行業者を使わなくても自分で申請すれば良いのでは?とも思います。
代行業者を使うメリットって何ですか?
最大のメリットは、自分では見つけられない被害箇所を見つけられるところにあると思います。
火災保険には20万以下の免責がある場合が多いです。そうなると、例えばカーポートの屋根が数枚飛ばされたくらいでは、修理費用は20万円もかからないので保険はおりません。その場合、電話で保険会社に相談しても対象外といわれてしまいます。
でも我々に相談してもらえれば、他の被害を探し出してまとめて申請することが可能になるのです。少し浮いている屋根の被害など、個人で見つけるのは難しいと思います。
工務店さんであっても、このビジネスを理解していなければ、一般的に目に見える箇所だけの見積もりを出してしまいます。例えば、工務店さんで40万円の見積もりとなるところ、我々であれば他の細かい被害も見つけ出して70~80万円の見積もりを出すことができるのです。
単純に、屋根の上などは個人で撮影するのが難しいので、その点もメリットといえるでしょう。書類申請の方法についてもサポートしていますので、その点で喜んでいただけることも多いですね。
Q.今後、この業界が良くなるためにはどうしたら良いと思いますか?
我々は、別に保険会社といがみ合いたいわけではありません。
公平な環境を作る必要があると思っているだけで、そのためには、キチッとしたルールを作っていくべきではないでしょうか。
その点、地震保険はルールがあるのでフェアといえます。でも、火災保険はフェアさがない。
保険会社が出さないといえば出ないんです。この状況は変えていくべきだと思います。
まだ詳細はいえませんが、今とある大学と協力して、保険会社に提出できるようなエビデンスを用意しているところなんです。契約者を守るためにできることをどんどんやっていきたいと思っています。
Q.最後に、保険会社やお客さんに伝えたいことは何かありますか?
保険会社には、お金があるんだから、検証をしてエビデンスをとって、明確なルールづくりをしていただきたいです。
お客様には、火災保険はただでお金がもらえる・無料でリフォームできるという言葉に流されず、あくまでも修繕ありきで受け取れるものだと考えていただくと、安全に保険申請代行を利用していただけると思います。
鑑定人さんと揉めた話をしましたが、それはごく一部の話で、実際には仲の良い方もたくさんいます。そういう方には「アイフラップさんがいうなら間違いない。」といってもらっているんですよ。
これからも、お客様や各関係者の人から信頼してもらえる企業でありたいと思っています。