自然災害で被害を受けた時、火災保険の手続きが必要になりますが、正直面倒だという人も多いのではないでしょうか。そこで強い味方となるのが、保険申請の代行業者です。代行業者に依頼するときの手順や費用について解説するので、是非参考にしてみてください。
火災保険の代行業者とは?
火災保険の代行業者は、損壊箇所の確認、写真撮影、書類の作成など、火災保険申請の面倒な作業を全て代行して行なってくれます。
火災保険は医療保険や自動車保険のように、医師や警察からの証明書のようなものがないため、自然災害の被害にあったという証明書を自分で用意するということが、一番難しいポイントになります。そこも含めて業者に代行することで、スムーズな手続きを行うことができます
代行業者であれば、プロが家全体の被災箇所チェックを行うため、素人では見つけられなかったような損傷箇所を見つけることも可能です。
火災保険の代行には、申請代行専門の業者が行うケースと、リフォーム会社が代行も行なっているケースがあります。
損壊部分の修繕を依頼したリフォーム会社が申請代行も行なっている場合、併せて申請代行も依頼することが可能ではありますが、リフォーム業者はリフォームのプロであって、申請代行のプロではありません。目に見えている損壊部分、すでにお客様が気付いている損壊部分についての申請手続きであれば問題なく依頼できるとは思いますが、依頼者が気づいていないような損壊箇所まではチェックしない場合がほとんどです。
自然災害調査士や木造住宅耐震診断士のいる申請代行業者では、お客様がすでに気がついている損壊の部分だけを見るのではなく、建物全体の診断ができ、過去の災害における損傷状況もチェックすることができる点が、リフォーム会社の申請代行とは大きく異なっています。それは結果的に支払われる保険金の金額に影響し、申請代行のプロに頼んだ場合の方が多くなる可能性が高くなります。
代行業者への依頼手順と費用の目安
依頼手順
具体的な依頼手順は、以下の通りです。
*Step1* 業者に依頼する
電話や申し込みフォームから依頼しましょう。
*Step2* 調査日程の調整
担当者から、電話やメールで調査日程調整の連絡が入ります。
日程や当日の準備物、重要事項等について説明があるので、メモしておきましょう。
また、事前に確認しておきたいことがないか、このタイミングまでに考えておくと良いですね。
*Step3* 調査
火災保険のみの調査であれば、20分〜40分程度です。申請不可であると判断された場合は、Step3で終了となります。
*Step4* 調査結果の報告
被害があると判断された場合、約1週間で、電話やメールで調査結果が報告されます。
*Step5* 申請方法のサポート
申請代行業者から被災調査報告書・修繕見積書・写真等を受け取り、申請までの流れについて説明を受けます。
*Step6* 保険会社への連絡
申請代行業者のサポートを受けながら、保険会社へ連絡をします。
地震保険の場合は鑑定立ち合いが必要になるため、申請代行業者の専門家も立ち合いに参加します。
*Step6* 保険会社からの結果通知
保険会社は提出された書類の確認や第3者機関による建物の鑑定を行います。
その結果災害認定された場合、保険会社から電話もしくは書面にて保険金額の決定通知があります。
*Step7* 保険金の入金
早ければ、調査から3週間〜4週間で、指定口座へ保険金が入金されます。
*Step8* 成果報酬の振り込み
申請代行の費用は成果報酬が一般的です。
保険金の入金が確認されたら、予め設定された割合にて保険金額に応じた費用を申請代行業者に支払います。
申請代行の費用
一般的には、保険金の30〜50%の成果報酬制となっています。
保険金が支払われなかった場合は調査費用などの費用はかからないことが多いですが、その場合にも支払いが必要となる業者もあるため、契約の際にはよく確認するようにしましょう。
申請代行業者選びの注意点
申請代行業者には、詐欺まがいのことを行っていたり、法外な費用を請求したりといった悪徳業者が残念ながら多数存在しています。
悪徳業者に捕まらないために、代行業者選びの注意点をお伝えします。
注意点①契約書の提示があるか
申請代行業者の中には、契約書を提示しないまま申請の手続きを進めるところがあります。口では「無料でお手伝いします。」「無料でリフォームができます。」などと言っておきながら、いざ保険金がおりないとなったら、「保険金がおりた場合のみ、そこから手数料を支払うことになるから無料となる」などといって高額の手数料を取ったり、申請を取りやめるといったら違約金を請求してきたり、といったことが起こっています。
そのため、申請代行業者を利用する場合は、必ず契約書を提示してもらい、その内容をよく確認してから署名や捺印をするようにしましょう。
注意点②適正な成果報酬額であるか
先ほどもお伝えしたように、火災保険申請代行の専門業者の場合、成果報酬制が一般的で、その割合は支払われた火災保険料の30〜50%となっています。
割合に納得して申し込むのであればよいですが、相場を知った上で適正な割合であるかを判断するようにしましょう。
注意点③詐欺行為を勧めてこないか
申請代行業者によっては、虚偽の申請をして保険金を得ることを勧めるところがあります。「これくらいみんなやっていますよ。」などと誘ってきても、虚偽申請は詐欺行為です。軽い気持ちで虚偽申請をしたら、法を犯すことになってしまいます。
そもそも、詐欺行為を勧める業者は信用できないので、正しい情報で申請をするにしても、その業者の利用はやめたほうが良いでしょう。
注意点④業者が自分で傷をつけるなどしていないか
成果報酬制の場合、破損箇所が大きければ大きいほど保険金の額が高くなる可能性が高いため、確認する際に自分でさらに傷をつけて損傷箇所を大きくしたり、何もなかった部分に傷をつけたりする申請代行業者があります。
気がつくのは難しいかもしれませんが、契約段階から誠実な対応をしてくれる業者かどうかを見極め、作業中にお客様自身が様子を見に行くなどして、こうした違法行為が行われないように注意しましょう。
気がつかない間に傷をつけられ、虚偽の申請書類を作成されてしまった場合、結果的に犯罪に加担してしまう可能性もあるのです。
注意点④資格者が所属しているか
その申請代行業者に、自然災害調査士・木造住宅耐震診断士などの有資格者が所属しているかどうかを確認しましょう。有資格者が所属していれば、正しく、より精度の高い調査を行ってもらえるでしょう。
*自然災害調査士
2016年4月に一般社団法人全国自然災害家屋調査協会によって新設された資格であり、有資格者は自然災害による被害の建物調査や災害保険の専門知識を持って調査を行うことができます。
*木造住宅耐震診断士(耐震プランナー)
N P O法人日本耐震防災事業団の開催する講習を受け、テストに合格することで取得できる資格で、耐震・欠陥住宅チェックのプロです。
最後に
火災保険を申請するには、被害を受けたことの証明を自らしなければならないため、ハードルが高いと感じる方が多いです。そんな方は、ぜひ申請代行業者への依頼を検討してみてください。業者への依頼と保険会社への連絡以外の全ての作業を代行してくれるので、本当に楽です。ただし、業者選びの際には、今回ご紹介したポイントを思い出して、慎重に選ぶようにしましょう。