環境保護に関する意識は日に日に高まっており、SDGsなども浸透してきていることから、太陽光発電設備を備えた住宅は増加しているようです。住宅に設置される太陽光パネルは、ほとんどの場合屋根に設置されていますので、自然災害などで被害を受けるケースも発生しています。
そこで今回は、太陽光発電の修理で火災保険が適用されるケースと申請方法について解説します。
1. 太陽光発電の修理で火災保険が適用されるケース・されないケース
太陽光発電の修理で火災保険が適用されるのは、自然災害やその他火災保険の対象となる災害において被害を受けた場合です。
1-1 太陽光発電の修理で火災保険が適用されるケース
太陽光発電設備に台風や強風、大雨、雪、ひょう、落雷などの自然災害による被害があった場合に、火災保険が適用される可能性があります。
ただし、補償を受けるには「風災、水災、雪災、ひょう災、落雷」など、対象となる災害補償のついた火災保険に入っている必要があります。最近は、細かく対象となる災害を選択できるタイプの火災保険が増えており、火災保険に加入しているからといって、これら全ての保証を網羅しているとは限りません。契約内容を一度よく確認しておきましょう。
具体的な例としては以下のようなケースがあります。
・台風などによる強風により太陽光パネルが外れたり、飛んで行ったりする
・豪雨などの水害により太陽光発電システムが故障する
・落雷(誘導雷)により太陽光発電システムの部品が故障する
・落雷(直撃雷)により太陽光パネルが破損する
・大雪による重みで太陽光パネルが破損する
※太陽光パネルの破損が火災保険の適用対象となる一方で、太陽光パネルがあるために屋根の修理の際は適用面積が狭くなるので、屋根の申請については不利になる可能性があります。
1-2太陽光発電の修理で保険が適用されないケース
太陽光発電の修理で火災保険が適用されない主なケースは以下の通りです。
①経年劣化
②人的被害
・施工業者によって起こった、取り付けミスなどの施工不良
・施工業者の手抜き工事
③火災保険の契約後に太陽光発電システムを付けた場合
④屋根など建物以外に太陽光パネルを設置している場合
※庭などに設置されている場合は、建物の保証に含まれません。
⑤修繕費が20万円以下(損害額20万円以上タイプの場合)
⑥自己負担額よりも損害額(修理費用)が少ない場合(免責タイプの場合)
⑦被害を受けてから3年以上経ってから申請をした場合
※対象の災害に対する特例措置などにより、3年以上前の損害についても補償が受けられる場合があるます。
太陽光発電が故障した際の確認などで、屋根の破損が発見されることがあります。自然災害などによって破損した場合は保険の適用対象ですが、太陽光パネル設置時に業者の作業によって屋根が破損したケースについては申請適用外です。
2.太陽光発電メーカー保証が火災保険の補償と違う点
太陽光発電メーカーの保証に入っているから火災保険は不要では?と思うかもしれませんが、メーカー保証と火災保険では異なる点があります。メーカー保証だけでは不安な理由でもあるので、しっかり理解しておきましょう。
2-1災害による太陽光発電の破損や故障はメーカー保証の対象外であることが多い
災害による太陽光発電の破損や故障はメーカー保証の対象外であることが多いです。ひょうが降って故障した、大雪が降って故障したなど自然災害が原因の破損については、実費で修理しなければならなくなってしまいます。
2-2 気がついたら保証期限が切れてしまっている場合がある
太陽光パネルのメーカー保証は、10年以上が一般的です。しかし太陽光パネルの寿命は20年程度といわれており、長ければ30年ほど使えることもあるようです。
10年という一般的な家電などと比べて長い保証がついているからこそ、気がついたら保証期限が切れてしまっていて、修理をしたいときには保証が使えないというケースもあります。
3.太陽光発電の故障に気が付くためのポイント
太陽光発電設備は屋根に設置されていることがほとんどなので、傷が入っていたり、凹んでいたりしても、すぐに気がつけない場合が多いです。システムの故障も、意識していなければ気がつくのが遅れる可能性があります。
そこでこの章では、できるだけ早く故障に気が付くためのポイントをご紹介します。
3-1 定期的にモニターをチェック
定期的なモニターチェックをしていると、早いタイミングで異常に気がつくことができます。晴れの日が続いているのに発電量が減少している…などの状況になった場合は、すぐに点検・修理を依頼しましょう。
3-2 パワーコンディショナの状態を目で見て確認する
パワーコンディショナも大事なチェックポイントです。定期的に目で見て確認しましょう。変な音がしていないか、変なニオイがしていないか、異常に熱くなっていないかなどの変化に注意して点検しておくことをオススメします。
3-3 年に1回は定期点検を実施する
費用が発生することを考えると、ついつい先延ばしにしてしまいがちな定期点検。しかし故障の発見が遅れると、余計な出費が増えることにもなりかねません。
最低でも年に1回は定期点検を実施することが、結果的に長く安く太陽光発電を活用できることにつながります。
4. 太陽光発電の修理で火災保険を申請する方法
太陽光発電の修理をしたいと考えた時、火災保険が適用される可能性があります。
この章では、申請のための流れをご紹介します。
手順.1 保険会社(保険代理店)に電話やメールで連絡→書類の受け取り
書類到着までは数日~1週間程度かかります。
手順.2 修理業者に見積もりと写真撮影の依頼
初めて修理を依頼する場合は特に、複数の業者に見積もりを依頼することをオススメします。また太陽光パネルの破損箇所の撮影は高所での作業となり危険です。できるだけ修理業者に写真撮影も依頼しましょう。
見積もり段階の金額が20万円以下や免責金額以下になった場合は、火災保険申請代行業者に相談し、他にも被害を受けた箇所がないかチェックしてもらうことで、保険申請適用になる可能性があります。
手順.3 書類作成(被害状況を記入)・写真撮影(自分で撮影する場合)
手順1で届いた書類に、被害状況を記入します。この内容を参考にしながら保険会社は審査を行いますので、漏れなく丁寧に記入しましょう。
正しい情報が伝わらなかった場合は、保険金の支払いが少なくなってしまう可能性がありますので、不安な方は保険申請代行業者のサポートを受けると安心です。
※写真撮影がまだであれば、このタイミングで行います。
手順.4 鑑定人による調査
書類提出後、鑑定人が現地調査を行います。その際、鑑定人から質問を受けたり、被害状況の説明を求められたりする可能性があり、その内容は審査に影響します。また、口頭で補足したい情報がある場合もあるでしょう。プロの鑑定人との交渉を難しいと感じる場合、より良い説明をして欲しいと思う場合などは、保険申請代行業者に依頼しましょう。
手順.5 審査結果の連絡を1週間程度待つ
審査結果については、1週間程度で保険会社から連絡があります。
5.まとめ
せっかく節電も兼ねて太陽光発電設備を設置したのに、修理に高額の費用がかかってしまうのは辛いですよね。今回ご紹介したように、太陽光パネルは自然災害の際に被害を受けた場合など、火災保険の適用になる可能性があります。災害に遭った後は特に注意をして故障がないかを確認し、漏れなく申請を行うようにしましょう。
自分で被害状況の確認や申請、鑑定人との交渉をするのが難しいと感じる方は、プロの火災保険申請業者に相談してみてくださいね。