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火災保険とは違う!地震保険の支払い基準や査定方法とは?

火災保険に加入しているだけでは、地震の揺れで被害にあったり、地震によって起こった火災で被害にあったりした場合に補償対象にはなりません。地震保険に加入している必要があります。この地震保険ですが、火災保険とは支払いや査定の形式が異なっているのです。そこで今回は、地震保険の支払い基準や査定方法についてご紹介します。

 

1. 地震保険の対象となる損害とは?

 

地震・噴火、またはこれらによって発生した津波や火災によって住宅や家財が損壊・埋没・流失するなどの損害があった場合に、地震保険の対象となります。

1-1 地震保険の対象となる事例
・地震の振動による住宅・家財の損壊
・地震の振動によって発生した火災による住宅・家財の焼損
・地震の振動によって発生した土砂災害で住宅・家財が損壊
・地震や噴火よる津波によって生じた住宅・家財の流失、損壊
・地震の振動によって発生した土砂災害で住宅・家財が損壊
・噴火による溶岩流や噴石、火山灰、爆風によって住宅・家財が倒壊、埋没
・噴火によって発生した火災による住宅・家財の焼損
・噴火によって発生した土砂災害による住宅・家財の焼損
・地震によって液状化が起こり、住宅が傾いた
・地震によって液状化が起こったことによる、住宅の地盤沈下

 

2. 地震保険の損害の設定区分と査定方法

 

地震保険は火災保険とセット加入します。保険金額は、火災保険の保険金額の3050%の範囲です。(ただし建物5000万円、家財1000万円限度)
この章では、地震保険の損害の設定区分と査定方法をご紹介します。

2-1地震保険の対象となる損害の設定区分

201711日以降始期契約>
全損
地震保険金額の全額が支払われます。
(ただし時価額が限度です。)

*設定区分(建物)
・主要構造部(軸組、基礎、壁、屋根等)が、建物の時価の50%以上の損害を受けた場合。
・焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上の損害を受けた場合。

*設定区分(家財)
・損害額が家財全体の時価の80%以上である損害を受けた場合。

*地盤の液状化現象
傾斜が約1度超の場合
沈下が30cm超の場合

大半損
地震保険金額の60%が支払われます。
(ただし時価額の60%が限度です。)

*設定区分(建物)
・主要構造部(軸組、基礎、壁、屋根等)が、建物の時価の40%以上50%未満の損害を受けた場合。
・焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の50%以上70%未満の損害を受けた場合。

*設定区分(家財)
・損害額が家財全体の時価の60%以上80%未満である損害を受けた場合。

*地盤の液状化現象
傾斜が約0.8度超約1度以下の場合
沈下が20cm30cm以下の場合

小半損
地震保険金額の30%が支払われます。
(ただし時価額の30%が限度です。)

*設定区分(建物)
・主要構造部(軸組、基礎、壁、屋根等)が、建物の時価の20%以上40%未満の損害を受けた場合。
・焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上50%未満の損害を受けた場合。

*設定区分(家財)
・損害額が家財全体の時価の30%以上60%未満である損害を受けた場合。

*地盤の液状化現象
傾斜が約0.5度超約0.8度以下の場合
沈下が15cm20cm以下の場合

一部損
地震保険金額の5%が支払われます。
(ただし時価額の5%が限度です。)

*設定区分(建物)
・主要構造部(軸組、基礎、壁、屋根等)が、建物の時価の3%以上20%未満の損害を受けた場合。
・全損・大半損・小半損に至らない建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水により損害を受けた場合。

*設定区分(家財)
・損害額が家財全体の時価の10%以上30%未満である損害を受けた場合。

*地盤の液状化現象
傾斜が約0.2度超約0.5度以下の場合
沈下が10cm15cm以下の場合

20161231日以前始期契約>
全損
地震保険金額の全額が支払われます。
(ただし時価額が限度です。)

*設定区分(建物)
・主要構造部(軸組、基礎、壁、屋根等)が、建物の時価の50%以上の損害を受けた場合。
・焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上の損害を受けた場合。

*家財
・損害額が家財全体の時価の80%以上である損害を受けた場合。

半損
地震保険金額の50%が支払われます。
(ただし時価額の50%が限度です。)

*設定区分(建物)
・主要構造部(軸組、基礎、壁、屋根等)が、建物の時価の20%以上50%未満の損害を受けた場合。
・焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上70%未満の損害を受けた場合。

*家財
・損害額が家財全体の時価の30%以上80%未満である損害を受けた場合。

一部損
地震保険金額の5%が支払われます。
(ただし時価額の5%が限度です。)

*設定区分(建物)
・主要構造部(軸組、基礎、壁、屋根等)が、建物の時価の3%以上20%未満の損害を受けた場合
・全損・大半損・一部損に至らない建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水により損害を受けた場合。

*設定区分(家財)
・損害額が家財全体の時価の10%以上30%未満である損害を受けた場合。

2-2損害の査定方法

・建物の損害の査定方法
建物の損害の査定では、主要構造部の損害がどの程度かで判定されます。主要構造部とは、軸組、基礎、屋根、外壁等のことです。
基礎に亀裂が入っている場合であれば、基礎全体に対して亀裂の長さや数はどの程度に及んでいるのかを確認して、査定を行います。例えば、この損害の程度が30%であれば、小半損となります。
マンションの場合、査定対象となるのは専有部分のみです。

・家財の損害の査定方法
家財は大きく5つに分類されます。会社によって多少異なりますが、以下のような5つの分類が代表的です。
またその5つの分類にはそれぞれに代表品目があり、1つの損害につき何%の損害とみなされるかの基準があります。

①食器陶器類
構成割合 1品目につき1% 最大で5

②電気器具類
構成割合 1品目につき2.5% 最大で20

③家具類
構成割合 1品目につき4% 最大で20

④身の回り品その他
構成割合 1品目につき2.5% 最大で25

⑤衣類・寝具類
構成割合 1品目につき15% 最大で30

例えば、食器類の品目が2つで2%、家具類の品目が4つで16というように計算していき、合計が70%であれば大半損となります。
このように、それぞれの該当品目をいくらで購入したかは関係がありません。10万円のテレビも、30万円のテレビも同じ損害割合としてカウントされます。
高いものが1つ壊れるよりも、安いものであっても多くの分類・品目が損害を受けた方が、大きな損害という判断になるのです。

 

3. 地震保険が支払われない場合

 

・「部損」に満たない場合
・建物に損害がなく、門、塀、垣のみに損害があった場合
・地震が発生した日の翌日から起算して10日を経過した後に生じた損害の場合
1個または130万円を超える書画・骨董品、貴金属などの損害の場合
・現金や預貯金通帳、有価証券などの損害の場合

 

4.支払い保険金が削減される場合について

 

基本的には、査定の結果に合わせた地震保険金が全額支払われることになりますが、想定し得ないような巨大地震が発生した場合、保険金が減額される可能性があります。
それは、1回の地震で損害保険会社全社の総支払額が11.7兆円(平成314月現在)を超える場合です。地震保険は「地震保険に関する法律」に基づき、政府による再保険制度が導入されているからです。

 

5.まとめ

 

火災保険とセットで加入する地震保険ですが、支払基準や査定方法には、火災保険と大きな違いがあることを知っていただけたかと思います。

事前に知識を持ち、適正な査定をしてもらえるように対応したいところですが、

実際にはなかなか難しいです。地震が発生した後のような状況であれば、尚更でしょう。そんな時は保険申請のプロに相談してみてはいかがでしょうか。